こんにちは!Attaboy運営人のアキラおじさんです!
今回はシグナスX-SR(SE44J)のVベルトの交換方法についてです。
125ccスクーターの駆動系ベルトの交換です。
クランクケースの中で、エンジンの伝える役割を果たしている、あのベルトの交換ですよ。
ドライブベルトと呼ぶ人もいますが、正式名称はVベルト。
20,000キロ走行したらVベルトは交換しましょう。
私はバイク歴25年以上ですが、スクーターはバイク屋が廃業してしまったので10年以上自分でメンテや部品交換して乗ってきました。そんな私の経験も踏まえて、初心者でも簡単に行えるように、DIYで交換するための手順、必要な道具や注意点も解説しますね。
ベルトの摩耗、亀裂のチェックや取り付けの時の慣らしやベルトの落とし込みの方法、今回外すプーリーやセカンダリーの掃除やチェックなども自分でやる場合のポイントの説明もしておきます。
まあ、駆動系なのでそんなに難しくはないと思うけど、不安があるようならプロのバイク屋やショップでベルト交換してもらってください。あくまで自己責任でお願いねw。責任取れないからねww。
基本的にはスクーターのVベルト交換のやり方はどれも同じです。
交換方法が分かればどの車種でも交換できると思います。
ただし、車両型式でベルトの種類、ボルトの取り付けトルク数が違うので、自分のシグナスの型式のサービスマニュアルで確認してみてください。
今回は私の3型 SE-44Jで作業してますww。
シグナスのベルトは、2種類あるので間違えないように注意。
1型、2型、3型がシグナス派生型で共通。
4型、5型がBW'S派生型で共通です。
シグナスの車両型式について一応一覧にしておきます。
年代 | 車両タイプ | 車両形式 |
2003年~2006年 | シグナス1型 | BC-SE12J |
2007年~2012年 | シグナス2型 | EBJ-SE44J |
2013年~2015年 | シグナス3型 | EBJ-SE44J |
2015年~2018年 | シグナス4型 | EBJ-SEA5J |
2018年~2023年 | シグナス5型 | 2BJ-SED8J |
2023年~ | グリファス1型 | 8BJ-SEJ4J |
必要な道具・工具
- トルクレンチ
- ソケットレンチ
- ソケット 19mm・17mm・10mm
- インパクトドライバー
- シザーズホルダー
- 新しいVベルト
他にも細々としたものは必要ですが、トルクレンチ、シザーズホルダーは必須です。
インパクトドライバーは無くてもいいですが、高トルクで締め付けてあるボルトを外すので、あった方が作業がかなり楽ですよ。
シグナスX-SR(SE44J)のVベルト交換前の準備作業
今回のVベルトは、このクランクケースを開けて作業します。
取りあえずクランクケースを開けてからスタートです。
クランクケースの開け方については、ウエイトローラーを交換したときのページに詳しく書いているので、クランクケースの開け方を知りたい方は こちらを確認しておいてください。
Vベルト交換の時は「クランクケース内の大掃除」と思っておいた方が良いかもしれませんww。
クランクケース内は強制排気されているとはいえベルトのカスやカーボン汚れが結構溜まるので、パーツクリーナーなどで内部をきれいにしておくチャンスです。
今回私もやってますが、チェックと同時にクリーニングもしておいてくださいね。
シグナスX-SR(SE44J)のVベルト交換方法・手順
今回は写真のVベルトの交換です。
駆動系のクランクケースを開けたところからw。
作業前に、今回の交換する作業手順の流れを紹介しておきます。
- クランクケースを開ける。
- エンジン側のプーリーを外す。
- リアタイヤ側の クラッチ・ドリブン一式を外す。
- Vベルトを交換。
- ドリブンにVベルトを挟んで落とし込みをして取り付ける。
- ベルトを通してプーリーを取り付ける。
- トルク規定値でボルトを締め付ける。
- 回転を確認して終了
大体こんな流れですw。
正直そんな難しいことはやってないですよね。
それぞれ「プーリー」、「クラッチ」、「Vベルト」を順を追って外していきます。
このVベルトの交換です。
こうして取り付けられてる状態だと劣化してるのかどうか分からないんだよねww。
これがシグナスXの純正Vベルト。
価格としてはこんなものです。
1型、2型、3型がシグナス派生型で共通。
4型、5型がBW'S派生型で共通です。
私の3型の部品番号としては、5ML-E7641-00なのですが、いつの間にか5ML-17641-00と共通になってますね。
国内・台湾のパーツナンバーの違いみたいなのですが、同じ物のようです。
4型5型は部品番号、2JS-E7641-10、99999-04540は同じ物。
どちらを使っても、特に問題はないみたいですよww。
古いVベルトの取り外し
プーリー側のチェックと掃除・取り外し
まずはプーリーを取り外します。
インパクトドライバーでナットを外します。
ソケットは 17mm。
ウエイトローラーのページでも書いてますが、よほど怪力でないとプーリー、クラッチのナットは人の手ではまず外れないです。作業効率を考えるなら、インパクトドライバーは必須ですよww。
私はインパクトとトルクレンチ両方でソケットを使えるようにアダプター使ってますが、その辺は好みで変えてください。
取りあえずドライブフェイスだけ外せばベルトは取り外せますが、今回は掃除とウエイトローラーの摩耗チェックも兼ねているので、プーリー全部外してチェックはます。
Vベルト交換時には、ウエイトローラー等のチェックと交換はワンセットですよ。
一応替えのウエイトローラーも用意してはあったのですが、半年ぐらい前に交換してあまり乗ってなかったので全然新品でしたww。汚れてるだけで全く摩耗してないので、今回は掃除してこのまま使います。
スライダーも全然減ってないみたいなので、このまま使いますよ。
意外とこのスライダーはチェック漏れするパーツなので、擦り減ってたり傷があるようなら一度全部交換した方がいいです。
あまり気がつかないところですが、写真で分かるかな?
プーリーのプーリーボスが通る部分の内側、両脇ゴムパッキンで塞いだ中にグリス溜まりがあって、グリースが入っているんだよね。
サービスマニュアルには何も書いてないんだけど、このグリースって何?
社外品の高速プーリーとかに交換すると、ここにグリース塗っちゃダメだったりするので、あまり今まで気にしてなかったけど、わざわざグリス溜まりがあるぐらいだからね、指定があるのかな?
万能グリスでいいの? シリコン系じゃなくて多分リチウム系でいいんだよね。
今ついてるグリスの匂いや手に取った色からすると、「YAMAHAグリース J 」だと思うんだけど、間違いなさそうね。グリースとしては柔らかめの茶色いグリースです。今のところグリス切れは全くしてないので、次回グリースを手に入れたらちょっと足しておこうと思います。
パーツクリーナーで周りやウエイトローラーについた細かいカーボンや汚れをきれいに取り除いて、ウエイトグリスを薄く塗って取りあえず組んで横に置いておきます。
これでプーリーのチェックと掃除はおしまいです。
クラッチ側のチェックと掃除・取り外し
次にクラッチ側のセカンダリーなのですが、写真で見た通り、ベルトが通る隙間が全くないので、クラッチを外さないとベルトを取り出すことができません。
私のSE44Jより新しい型式のシグナスはクランクケースの形が大きく変わって、クラッチを外さなくてもベルトが外せるみたいですね。私のシグナスより新しい型式の場合は、そのままベルト交換できるみたいなので、交換した後プーリーを取り付けておしまいですww。
私のシグナスはクラッチ(セカンダリー)を外さないとVベルト交換ができないので外します。
こちらもインパクトドライバーでナットを外します。
ソケットは19mm。
クラッチアウターを取り外します。
取り外したナットとワッシャーは無くさないようにしてください。
セカンダリーを丸ごと引っ張ってベルトごと外します。
空っぽになったクランクケース内。
結構汚れてます。
パーツクリーナーを使って中にこびりついてるカーボンやカスを全部取り除きました。
綺麗になったでしょ?
セカンダリーも掃除しておきます。
取り外したクラッチアウターの内側ですが、綺麗に見えて、クラッチシューが密着する部分なので、クラッチシューのカスが均等についていて結構汚いはずです。
塩ビのブラシで擦ってみると、出るわ出るわ黒いカスが山盛りですww。
パーツクリーナーを使って裏表綺麗にしていきます。
見た目では分からないと思うけど、ピカピカですww。
クラッチの中身の方も掃除していきます。
おりょ? 意外ときれいだねぇw。
もっとガビガビにススまみれを想像してたんだけど、ドリブン部分の裏側にこびりついていただけで、表面をパーツクリーナーで軽く拭いていくだけで終了でした。
クラッチシューはもっと擦り減っていて、交換を考えなきゃいけないんじゃないかと思っていたんですが、予想は大ハズレw。全然平気ですねw。
私の目から見たらこのぐらいだったら、ほぼ新品ですよ。
ノーマル状態であんまり飛ばしてないとこんなに減らないもんなんだねww。
ドリブン側から穴を覗いたところだけど、ちょっと写真が暗くてわかりにくいかな?
ここに溝があります。反対側にも入っているので2カ所になるんだけど、この溝とシャフトのガタを起こしてないか確認します。
中を覗くとトルクカム部分のグリースが見えるけど、さすがにもう真っ黒だね。
ここのグリースは「YAMAHAグリース E」指定。
高速回転するパーツ内のグリースなので必ずグリースEを使ってください。
本来はクリーム色の乳白色なんだけど、真っ黒ですわw。
近いうちにセカンダリーはオーバーホールするつもりです。
新しいVベルトの取り付け
Vベルトの交換チェック
やっと本題のVベルトのチェックと交換です。
写真は取り外したVベルト。思った以上に消耗してましたね。
写真だと分かりにくいと思いますが、ベルトをひっくり返して山部分を開いてみると、亀裂がかなり入っています。写真で白いところがちらほら見えると思うけど、これ、亀裂の間から中の白い繊維が見えているところですw。
右側が新品Vベルト。
見ただけで分かるぐらいベルトが細く痩せていて摩耗してましたww。
不思議なことに長さは伸びてないですね。
純正はこの頑丈さが魅力ですわww。
Vベルトの交換取り付けとベルトの落とし込みポイント
Vベルトには方向があるので気をつけてください。
矢印の方向が回転する方向です。
この方向で取り付けます。
そのままでは隙間が狭くてベルトを入れられないので、クラッチのドリブンを手で広げて、写真のようにベルトを挟んだ状態にしてクラッチを差し込みます。
この時、ノーマルだと手でドリブンを広げるのはカンタンなのですが、センタースプリングを強化スプリングに変更していると、手の握力では広げるのに苦労する場合があります。用途はちょっと違うけど、スプリングコンプレッサーを使ってドリブンを広げるとすんなり取り付けられますよ。
プーリー側へもVベルトを通します。
ボスワッシャーも忘れずに。
仮でボルト止めしますが、ここで超重要なベルトの落とし込みです。
これで分かるかな?
上で紹介した通り、再度ドリブンを広げてベルトを根元に落としてやります。
写真では片手で掴んでいますが、本当は左右両手で握ってギュッとクラッチのドリブンを握って最大限広げます。
広げないと、ベルトがV字のかなり高いところにあるのが分かると思います。ギュッと握って広げると、ドライブフェイスが広がったところで止まるので、ベルトをドライブシャフトの軸の根元のところまで落とします。
これが落とし込みと言われている方法です。
これをやらないと、ベルトがピンと張ってしまっていて、プーリーのナットが、ちゃんと根元まで締められないということが起こっちゃうんですよね。そのためにやる作業です。
まあ、これが駆動系の作業のコツみたいなもんですよww。
クラッチのドリブンをしっかり手で広げて、ベルトを落とし込み、プーリー側がが奥までしっかり入るようにベルトに余裕を持たせます。
このぐらいたわめば充分じゃないかな?
ベルトの落とし込みが不十分でちゃんとプーリーのナットが奥まで締められないことが多いので、気をつけてください。
クランクケースへの組み付けとボルトの締め直し
プーリーとクラッチをしっかりトルクレンチで取り付けていきます。
プーリー、クラッチどちらからでもいいですが、とりあえずプーリー側から締めていきます。
プーリー側のトルクレンチの規定値は45N.mです。
クラッチ側も締めていきます。
ボルトとワッシャーは元通りに付けてね。
クラッチ側のトルクレンチの規定値は60N.mです。
私のシグナスの型式ではこのトルク規定値ですが、他の型式では違うかもしれないので、サービスマニュアルで確認しておいてくださいね。
トルクレンチで締め付けるとき、長年オレンジ色のバンドホルダーに、プレートを入れて延長してまで使ってたんですが、最近空滑りするようになってきちゃって、ちょっと使い勝手の悪さを感じてきたんだよねぇw。
買い替えちゃいましたが、シザーズホルダーの方が使い勝手が良いですw。
Vベルト交換後の確認作業
最後に後輪を手で回して落とし込みをリセットします。←これ忘れずに!
エンジンをかけて正常に回るか確認します。
本当は危険なのでカバーを仮付けしてもしもに備えるんですが、今回は写真撮りのためにカバーを開けてテストしました。
皆さんがテストする場合はカバーをつけてテストしてくださいね。
最後にクランクケースを元通りに取り付けて終了。
これで終わりです。
お疲れ様でしたww。
Vベルトの慣らしですが、ベルトが馴染めばいいんで20~30kmぐらい軽く走ったら終わりでいいんじゃないですかね。
その間に異音だとかベルトが滑り出したなんてことがないかを確認すれば終わりです。
異音がしたら組付け方が悪かったのか、ボルトが外れたってことがあり得ます。
ベルトが滑り出したら、ベルトにオイルやグリースがついてしまった可能性があるので、もう一度開いて脱脂してください。
シグナスX-SR(SE44J)のVベルト交換タイミングとメンテナンス頻度
さてVベルトの正規の交換時期とメンテナンス頻度です。
- 2万km走行で交換。
- または2年ごとの交換。
シグナスXのVベルト交換時期はサービスマニュアルで指定されています。
実際には早めの15,000kmぐらいでの交換をおすすめしますけどねw。
私の感覚としては、10,000km走行ごとに確認、ウエイトローラー交換2回目ごとに一緒に確認ぐらいの頻度でしょうか?
これで異常を感じたり擦り減っていると感じたら交換してます。
Vベルトの交換時期や費用については別ページでも詳しく解説しているので、そちらも確認してみてください。
シグナスX-SR(SE44J)のVベルト交換 まとめ
今回シグナスX-SR(SE44J)のVベルトの交換方法について解説しました。
クランクケースを空っぽにできるチャンスだったんで掃除がメインみたいになっちゃいましたが、掃除はガン無視でベルト交換だけ一直線でも全然問題はないですw。
ただ、長いことクランクケース内のチェックをしていないなら、交換部品の点検もかねてある程度細かく見ておいた方がいいとは思いますけどね。
取りあえず、私は非常に快調に走ってます。
最近走りが重ったるいなぁって思ってたんだよねw。
まあ、だいぶ乗ってきたし、こんなもんかなって思ってたら違ったねw、Vベルトのせいだったわ。
走りが軽くなったし、走り出しとスピードののりが良くなりました。
まあ、あれだけベルトが痩せてたらそうなりますわなww。
何となく最近走りがだるくなってきたなぁって思ったら、Vベルトの交換、おすすめです。
長い間交換しないっていうのをやったことが無かったんで、こんなに違うとは正直思ってなかったですわ。
今回は私のシグナスXで交換をしましたが、基本的な流れはスクーターすべて同じなので、規定値のトルク数だけ確認すればできると思いますよ。
掃除に時間がかかってただけで、やってることはそんなに難しいことをやってるわけではないです。
一度挑戦してみてください。